動画で学ぶ
ディサースリア
発話速度の調節法

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ペーシングボード と リズミック・キューイング法 を中心として動画で解説!
発話速度の調節法の中でも、ペーシングボードとリズミック・キューイング法は最も使用頻度が高く、実用的で効果の高いアプローチです。過去30年ほどの間に、著者らは発話速度の調節法について多くの講演を担当してきました。その結果、幸いにしてその知名度は飛躍的に高まりました。しかし、臨床技能は適切に普及しているようには感じられません。そこで、本DVDではこれら2つの治療技術を中心として、実演を交えてきめ細かく臨床効果を高めるテクニックの実用の仕方を包括的に解説します。

書名:動画で学ぶディサースリア 
発話速度の調節法
著者:西尾正輝(新潟医療福祉大学 教授)、阿部尚子(下越病院)
ISBN:978-4-900637-59-7
判型:DVD2枚組(本編162分)+ハンドアウト(72頁・オールカラー)
定価:5,500円(税込)

目 次

1.ペーシングボード
2.リズミック・キューイング法

はじめに

 発話速度の調節法は,ディサースリアの臨床では非常に頻回に使用する技法である.活動制限レベルの治療では,中心的な役割を果たす.発声発語器官に運動障害を来した症例の場合はその改善を目的としてMTPSSE(高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム)などの機能障害レベルの治療を優先させる必要があるが,早晩,活動制限レベルの治療へと移行したさいに,発話速度の調節法が臨床プランの主軸となることが多い.
 発話速度の調節法が臨床的に治療プランに加えられる理由は,この手技がほとんどあらゆるタイプに適応となり,これほど劇的に明瞭度を改善させることができる技法はほかにないからである(Yorkstonら,1988).機能的改善が期待しにくい神経難病例などでは,AACアプローチとならんで命綱のような掛け替えのないアプローチとなる.総じて,ディサースリアの臨床では,発話速度の調節法は最も重要な手技の一つと断言しても良いであろう.
 さて,発話速度の調節法の中でも,ペーシングボードとリズミック・キューイング法は臨床的に最も使用頻度が高く,実用的で効果の高いアプローチである.過去30年ほどの間に,著者らは発話速度の調節手技を国内に紹介し普及させる活動をセミナーなどを通して継続してきた.その結果,その知名度は飛躍的に高まった.言語聴覚士国家試験にも頻回に出題されるようになった(言語聴覚士国家試験が開始した1999年から当面の間は,ペーシングボードやリズミック・キューイング法などが出題されることはなかった).
 しかし,残念ながら臨床技能は適切に普及しているようには感じられない.発話速度の調節法をテーマとしたセミナーを開催すると,今日でもお決まりのように「ペーシングボードの実用場面を初めて見た」「リズミック・キューイング法の実施場面を初めて見た」という反応がセミナー後のアンケートで多数見受けられる.「言語聴覚士養成校ではテキストを読むだけで,発話速度の調節法について具体的手技は習わなかった」「国家試験の勉強でその名前を知った程度で具体的に手技を教わる機会はなかった」という声も少なくない.さらに,私が勤務する大学で教えてきた学生たちが実習から帰ってくると,実習先の施設で発話速度の調節法について具体的に指導してもらえなかった,という声がとても多く聞かれる.
 加えて驚くべきことに,ディサースリアのテキストとして販売されていながら発話速度の調節法について具体的に触れていないものさえある.言語聴覚士養成校でこうしたテキストが指定されれば,残念ながら,学生時代に何ら具体的に発話速度の調節手技を学ばないまま卒業することになってしまう.
 こうした臨床家たちの声は,具体的に発話速度の調節法にかかわる手法を習得したいというニーズが高いことを端的に示唆していると思われる.そこで,発話速度の調節法の中でも最も使用頻度か高いと思われるペーシングボードとリズミック・キューイング法を中心として,多数の実演と豊富な症例提示を交えて臨床効果を高めるテクニックの実用方法を具体的にきめ細かく提示し,日常生活での般化を促進する手技に至るまで包括的に解説した動画を作成し,今回DVDとして世に送ることとした.言語聴覚士養成校の教員としても,カリキュラム上の制限からこれほど長大な時間を費やして詳細にこれら2つの発話速度の調節手技について解説したことはない.講習会とは異なり何度でも見直すことができるため,本DVDを通して多くの言語聴覚士の方々が適切にこれらの技術を習得しディサースリアのあるクライアントに還元されることを願ってやまない.
 なお,発話速度の調節法にかかわる理論については成書(Yorkstonら,1988,2004;西尾,2006,2007)を参照されたい.発話速度の調節法をよりよく学ぶ上で役立つであろう.
 最後に,発話速度の調節法を適切に行うためには,①特定の技法と②体系的なドリルを欠かすことができない.前者については,本DVDにより学ぶことができる.後者については「スピーチ・リハビリテーション2~5巻(インテルナ出版)」と「会話訓練集(インテルナ出版)」を使用することを推奨する.本DVDでもこれらのドリルを用いた実演場面を多数提示している.
 先に示したように発話速度の調節法は即効的に高い効果が得られるが,般化へと導くのは容易ではない.特殊な技術を要する.かつては著者自身もこの問題に苦しみ,「できる発話としている発話」として取り上げ(西尾ら,2005),自らの課題として取り組んだ.その結果としてたどり着いたのが会話訓練の技法の開発である.本DVDでは般化へと導くテクニックについても随所で触れたが,そのさいに役だつのは「会話訓練集(インテルナ出版)」であり,本ドリルをしつこいくらいに使用し続けて般化が達成されることを強調しておきたい.

監修・著者 西尾 正輝

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